多くは望みません

        18歳まで廃棄区画で過ごしていた無戸籍主。ある程度の悪い事は全て網羅しているが犯罪係数は110。狡噛らがまだ着任する前に佐々山と出会い、都度情報交換する仲に。佐々山が連れてきた狡噛に一目惚れして更生施設に入り社会復帰することを望む。

だが戸籍を入手して2年後、執行官の適正がでて狡噛の部下として働く。狡噛が逃亡した後も執行官を続けていたが、WC事件が起こる前の鹿矛囲桐斗によって色相が好転し社会復帰まで至った。社会復帰した後は持て余していたお金で狡噛を追い掛け、狡噛が外務省に入った後は喫茶店を開く。

監視官と執行官

「狡噛さんっお昼一緒にどうですか」キャスター付きの椅子に跨って奥の狡噛さんの近くまで行き話しかける。「あー悪い、書類がまだ終わってなくてな」「手伝いますか?」「監視官の仕事だから大丈夫だ、ありがとな」間延びした返事をして、デスクに戻る。そのまま何をする訳でもなく30分程待てば、

狡噛さんが椅子から立ち上がった。書類は終わったらしいので、お昼行きましょうとデスクから話しかければ、ぎょっとされた。え、なんで「…待ってたのか?」「?はい」「おま、腹減ったろ」「そりゃあもう」お腹が背中とくっつきそうだ。突っ立っている狡噛さんの手を引き、食堂へと足を進めたのである。

執行官と執行官

    「何か用か」あ、狡噛さんが煙草吸ってる。後ろ姿でさえ様になるなぁと見つめていたら声をかけられ驚いた。彼は後ろに目でも付いているのだろうか。「いえ煙草吸ってる姿見てただけです」「何の面白みもないと思うがな。吸うか」そう言って私の目の前に出された煙草の箱。喫煙者な事は知られているが、
 
1本貰うのは悪いので、と建前を返した後、その代わりこっちください、と言いながら狡噛さんが吸っていた煙草を引っこ抜いて口に咥えた。わあ、嫌な顔してる。「なんですかその顔」「…お前ほんと昔の可愛さどこいったんだ」「えー!昔可愛いって思っててくれたんですか!」「…はぁ…」

逃亡犯と女の子

    「狡噛さん狡噛さん」「なんだ」こちらに振り向きながら返事をする狡噛さんの顔に今まで肺に溜まっていた紫煙を吹き掛ける。「…なんの嫌がらせだ」「やだなぁ怒んないでください」続けて、意味分かります?と言いながら近くに寄る。「分かっててやったのならタチが悪い」なぁんだやっぱり知ってたか。
   
    「というかお前からするもんじゃないだろ」「えっじゃあ狡噛さんしてくれるんですか」「するか」そう言って狡噛さんはまた向こうを向いてしまった。素っ気ない返答にぷーと頬を膨らませて拗ねる。こうなったら狡噛さんが煙を吐くタイミングで私自身が顔に近づいてやろう、と足を3歩程進めたのである。

外務省とマスター

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